Fly High ! ER・ICU学習記録

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Clostridium difficile infection (CDI) ガイドライン 2017 SHEA/IDSA

★Clin Infect Dis★

Clinical Practice Guidelines for Clostridium difficile Infection in Adults and Children  15 February 2018

 

SHEA/IDSAのCDIガイドラインが2010から2017に改訂されました。

ガイドラインの治療項目を見てみましょう。

最初に重症度分類を。

<SHEA/IDSA 重症度分類2017>

non-severe

WBC≦15000cells/mLかつCre<1.5mg/dL

severe

WBC≧15000cells/mL or Cre>1.5mg/dL

fulminant

低血圧、ショック、イレウス、megacolon

2010と比較して、重症度分類がmild-to-moderate→ non-severe,  severe and complicated → fulminantへ表記が変わりました。

また項目においても、Creが発症前から1.5倍未満か以上といった相対値から絶対値に変わりました。

ちなみに米国消化管学会(ACG)は2013年にガイドラインを出していて、そこでは別の重症度分類を使っています。Cre使ってないんですよね−。

<ACGの重症度分類>

mild-to-moderate

下痢に加えて

重症・複雑性の基準に当てはまらない症候

severe

血清Alb<3 g/dLに加えて以下のいずれか

WBC≧15000/μL

・腹部圧痛

Severe and complicated

以下のいずれか

CDIのためICU入室

・血圧低下

・38.5度以上の発熱

イレウス or 著明な腹部膨満

・意識変容

WBC≧35000/μL or <2000/μL

・Lac>2.2 mmol/L

・臓器不全

Recurrent

治療完了後8週間以内に再発したCDI

 

次に初回治療についてのまとめです。

<初回治療 原本から一部加筆>

Non-severe

 

■通常治療

・VCM 125mg 1日4回 10日間内服

・FDX  200mg 1日2回 10日間内服

■ VCM, FDXが使えない場合

・MNZ 500mg 1日3回 10日間内服

Severe

■通常治療

・VCM 125mg 1日4回 10日間内服

・FDX 200mg 1日2回 10日間内服

fulminant

■通常治療

・VCM 500mg 1日4回内服

イレウスが疑われる場合

・VCM注腸追加を検討

イレウスがある場合

・MNZ500mg q8h 静注

   +VCM内服or注腸

VCM:バンコマイシン、FDX:フィダキソマイシン、MNZ:メトロニダゾール

VCMとFDXが第一選択に、MNZはnon-severの代替およびイレウスがあるときだけの限定使用になりました。MNZ降格ですね。また、MNZは繰り返しの使用や長期投与は不可逆的な神経毒性の可能性があり避けるとの記載もあります。メトロニダゾール誘発性脳症のことを指しているのでしょう。

 

最後に再発治療

<再発治療 原本から一部加筆>

再発(初回)

■初回治療にメトロニダゾール使用>

・VCM 125mg 1日4回 10日間

■初回治療に標準レジメン

・VCM tapered and pulseレジメン

■初回治療にVCM使用

・FDX200mg 1日2回

再発(複数)

・VCM tapered and pulseレジメン

・VCM125mg 1日4回 10日間内服

   +リファキシミン400mg 1日3回 20日間

・FDX200mg 1日2回 10日間内服

・便移植 (適切治療をしても2回以上の再発時)

<VCM tapered and pulseレジメンの1例>

VCM125mg 1日4回10-14日→1日2回1週間、1日1回1週間、2-3日に1回を2-8週。

 

7年たちましたからね。結構変わりました。重症度分類の変更は予想外でしたが、治療に関しては大体予想通りでした。