敗血症とステロイド 〜ステロイドはショックへの進行を防げるか〜
★JAMA★
Effect of Hydrocortisone on Development of Shock Among Patients With Severe Sepsis: The HYPRESS Randomized Clinical Trial. November 1, 2016
敗血症とステロイド 〜CIRCIとこれまでのRCT〜 - Fly High ! ER・ICU学習記録
の続きです。
SSCG2016発表後にでた敗血症とステロイドのRCTは、
・HYPRESS (JAMA. 2016 ;316(17):1775-1785.)
・ADRENAL (N Engl J Med 2018; 378:797-808)
・APROCCHSS (N Engl J Med 2018; 378:809-818)
があります。
2018年3月にNEJMでpublishされたADRENAL, APROCCHESSを見る前に、HYPRESSを診ておきましょう。
<重症敗血症に対するステロイド投与は敗血症性ショックへの進行を防げるか?>
ドイツ34施設
敗血症の基準はSIRS 2項目以上+感染。
重症の定義は 48時間以内に臓器不全が出現していること。
除外基準は敗血症性ショック、18歳未満、使用する薬剤への過敏症、他疾患でステロイドを使用する患者。
ハイドロコルチゾン50mgボーラス後200mg/dayで持続静注5日間
その後2日間おきに半量ずつ減量する
というプロトコール。
主要評価項目は14日以内の敗血症性ショックへの進行
副次評価項目は敗血症性ショック発症までの時間、死亡率、二次感染症など。
症例数は353例。
年齢65歳ぐらい、救急症例が8割
重症度は、APACHEⅡ 19点 SOFA 6.3点と高くない。
感染巣は呼吸器系で約半分、ついで腹腔内、尿路の順でした。
28日死亡率は約8%、院内死亡率約13%、180日死亡率約24%で死亡率はいずれも有意差なし。
ICU在室日数や人工呼吸器離脱日数、腎代替療法離脱日数でも有意差なし。
合併症としては、二次感染発症は有意差はなく、高血糖がステロイド投与群で有意に上昇。なぜかせん妄はステロイド投与群で有意に減少した。
これらの結果は、相対的副腎不全症例でも有意差を認めず。
ということで、重症敗血症でステロイドを投与してもショックへの進行を抑制できないという結論でした。