ステロイドはseptic shockの予後を改善するか 〜APROCCHSS〜
★NEJM★
Hydrocortisone plus Fludrocortisone for Adults with Septic Shock March 1, 2018
敗血症性ショックとステロイドの多施設RCTは
French trial
CORTICUS study
ADRENAL
の3つあります。
Frenchでは、死亡率が改善するということでしたが、CORTICUS, ADRENALでは、ショックからの離脱は早くするけど死亡率は改善しない。という結果でした。
死亡率が出た報告と出なかった報告の違いとして
① ステロイドの違い
Frenchではソル・コーテフ(50mg×4回/日)とフロリネフ(50 mcg経口1回/日)
CORTICUS,ADRENAL ではソル・コーテフ50mg×4回/日
② 重症度
French SAPSⅡ 59
CORTICUS SAPSⅡ 49 SOFA 10.6
ADRENAL APACHEⅡ 24-25
が考えられています。
今回は、French trialの筆頭著者であるAnnneが、ステロイドの使い方を教えてやるとばかりに(かってな想像です)再度RCTを行いました。これがAPROCCHSS trialです。
もともとはステロイドの効果だけでなく活性化プロテインの効果も検証する2 x 2のfactorial designで組まれたRCTでしたが、途中で活性化プロテインCの販売終了をうけて、ステロイドのみで続けられました。
フランスの34施設 計1241 patients。で行われたstudyで
対象患者は、
・成人の敗血症性ショック患者
・ノルアドレナリンやアドレナリンなどを0.25γor 1mg/hr以上の高用量投与 6時間以上
・SOFA 3, 4点の臓器不全を2つ以上 6時間以上 (昇圧剤で1つ満たすのでそれ以外を一つ以上)
除外基準は、24時間以上の敗血症性ショック、出血高リスク、妊娠/授乳、ステロイド治療歴
患者の割付は
ハイドロコルチゾン 50mg q6gh +フルドロコルチゾン50/dayで7日 or プラセボ
主要評価項目は「90日死亡率」
副次評価項目は
・ICU退室時/退院時/28日/180日 の死亡率
・カテコラミン離脱までの時間と離脱日数
・人工呼吸離脱までの時間と離脱日数
・臓器不全離脱*までの時間と離脱日数
*SOFAスコア6点未満
安全性
・二次感染
・消化管出血 (28日まで)
・高血糖 (7日まで)
・神経学的後遺症 (ICU退室時、90日, 180日時点)
でした。
さて結果です。
年齢は66歳ぐらい。男性が67%ぐらい SAPS2 56 SOFA 12
感染巣は肺炎が59%で最多、 次が尿路17.7%
カテコラミンはNAD1γ、AD2γ
呼吸器92%, RRT 28%
とかなり重症患者。
主要評価項目である90日死亡率は、
ステロイド 43.0% vsプラセボ 49.1%と有意差あり(P=0.03)、死亡の相対リスクは0.88 (95% CI, 0.78 to 0.99)。
副次項目のうち死亡率は、
|
P値 |
||
ICU退室時 |
35.4% |
41.0% |
P=0.04 |
退院時 |
39.0% |
45.3% |
P=0.02 |
28日 |
33.7% |
38.9% |
P=0.06 |
180日 |
46.6% |
52.2% |
P=0.04 |
臓器障害に関しては、カテコラミン、人工呼吸、臓器不全のいずれもステロイド群の方が有意差有りで早期に離脱。
|
P値 |
||
カテコラミン 離脱日数 |
17日 |
15日 |
P<0.001 |
人工呼吸器 離脱日数 |
11日 |
10日 |
P=0.07 |
臓器不全 離脱日数 |
14日 |
12日 |
P=0.003 |
180日以内の重篤な有害事象の発現率に有意差なし(53.1% vs 58% p=0.08)。
高血糖の頻度はステロイド群のほうが高かった (RR 1.07; 95% CI, 1.03 to 1.12; P=0.002)。
というわけで敗血症性ショックにおいてステロイドは90日死亡を減少させたとのこと。
うーん。重症度の問題?フルドロコルチゾンのおかげ?よくわからんです。ステロイドでショックからの離脱が早くなることはもう間違いなさそうで、昇圧剤をたくさん必要とする患者ではステロイドは予後改善するっていうことでしょうか。。。