敗血症とステロイド 〜CIRCIとこれまでのRCT〜
Critical Illness-Related Corticosteroid Insufficiency (CIRCI)って概念ご存知ですか?重症患者では、ストレスに応じた量のコルチゾールが分泌されないという「相対的副腎不全」に加えて、糖質コルチコイド受容体の減少や組織反応性低下により、「糖質コルチコイドの活性が低下」するとされています。これが、CIRCIです。重症患者でステロイドを補充するのは上記に対応するためです。
重症患者の代表が敗血症性ショックです。敗血症性ショックとステロイドはこれまでたくさん研究されてきました。一昨年までの大規模RCTは二つです。
一つ目は2002年のFrenchトライアルです。
フランス19施設のICU
敗血症性ショック患者を8時間以内にハイドロコルチゾン50mg q6hrとフルドロコルチゾン50mg/day投与を7日間投与とプラセボ群と比較。
↓
相対的副腎不全患者において、
28日死亡率(53% vs 63%)、ICU死亡率(58% vs 70%)、院内死亡率(61% vs 72%)は減少。
ショックからの回復短縮。(7days vs 10days)
二次感染症増加なし。
二つ目は2008年のCORTICUS studyです。
52施設のICU
ハイドロコルチゾン50mg q6hrを5日間とその後減量する群とプラセボ群と比較。
↓
28日死亡率に差は認めず (34.3% vs 31.5%)。
ショックからの回復短縮 (3.3 days vs 5.8 days)
二次感染や高血糖、高Na血症が増加。
これらの結果を受けてSSCG2016では、輸液負荷と昇圧薬で循環動態が安定化しなかった場合のステロイド投与がweak recommendationされています。
次回は
重症敗血症に重症敗血症に対するステロイド投与は敗血症性ショックへの進行を予防できるかについてです。