Fly High ! ER・ICU学習記録

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STEMIガイドライン2017 (ESC)

★European Heart Jounal★

2017 ESC Guidelines for the management of acute myocardial infarction in patients presenting with ST-segment elevation 
Volume 39, Issue 2, 7 January 2018, Pages 119–177

 

STEMIではPCIを開始するまでの時間が予後に関与しており、可能な限り早くPCIを施行することが大事で、病院到着後90分以内に血管造影&PCIを施行するよう推奨されています。これはdoor to balloon timeとして医療関係者においてもはや「共通言語」になっていると思います。

 

しかーし、

 

2017年にESCから発表されたSTEMIのガイドラインでは、door to balloon という言葉は曖昧なので、ガイドラインからの記載をなくしたとのことです。

 

どういうことでしょうか?

 

ESCによると、これまでは90分という時間制限の開始時間は、

・最初に症状を訴えたとき?

・救急車を呼んだとき?

・救急車がついたとき?

・患者が病院についたとき?

のどこなのかかで混乱していたと。

 

患者がSTEMIかどうかなんて心電図取るまでわからん。だからこそ、心電図を取ったタイミングをストップウオッチの開始とし、そこから90分以内の血管開通を目指すべきだ。また、治療開始は病院からではなく、救急車からでもできるんだから、doorなんて状況によってかわってくる。ってことです。

 

そこで、

  1. 心電図をとれて判読できる医者・救命士・看護師が患者に接触した時間をFirst Medical Contact (FMC)としよう
  2. 心電図を取ったタイミングを時間制限の開始時間としよう

とのこと。

ガイドラインが推奨する時間制限は、

  • FMCから10分以内に心電図をとってSTEMIと診断しなさい。
  • STEMIと診断してから120分以内までなら線溶療法よりPCIを行いなさい。
  • 患者がPCI施行施設に直接受診した場合は、STEMIと診断してから60分以内PCIを施行しなさい
  • 患者が救急車を利用した場合、PCIをすぐに施行できない施設を受診した場合は、STEMIと診断してから90分以内PCI可能施設でPCIを施行しなさい

 

わかりやすいなぁって思いました。AHAもこれに続くのでしょうかねえ。

 

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